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【第1回】Interstage Information Integratorの概要

~記事の投稿予定~

第1回 Interstage Information Integratorの概要【←本記事】
第2回 Interstage Information Integratorのセットアップ手順
第3回 Interstage Information Integratorの定義情報の作成と適用(デザインシートとIII Studio)
第4回 Interstage Information Integratorの運用手順(ファイル転送)

はじめに

本記事では、Interstage Information Integratorの概要ということで、
Interstage Information Integratorとはどのようなものなのか、何ができるのか、どのような機能があるのかという部分について私が理解した部分を解説します。

Interstage Information Integratorとは

Interstage Information Integrator(以降、III(トリプルアイ)と呼ぶ)とはどのようなものなのかについてですが、
まず、「Interstage」という、SOA(Service Oriented Architecture)に基づきサービスを整理し、業務システム全体を最適化することを目的とした、富士通製ソフトウェアの製品群があり、
その製品群のうち「情報統合・活用カテゴリ」に含まれるのが、データ収集・統合ソフトウェアである「Information Integrator」になります。

FUJITSU Software Interstage Information Integrator 製品サイト)
https://www.fujitsu.com/jp/products/software/middleware/business-middleware/interstage/products/infointegrator/

IIIでできることについて、
マニュアルにはこのように説明があります。

Information Integratorは、多様なデータを収集・統合して、必要な時に必要な形式で配付するデータ統合製品です。企業内のプラットフォーム・運用時間・データ管理方法などが異なる複数の業務システムからデータを集め、データを利用目的に応じた形式に統合して、利用する業務システムに格納することができます。

簡単に言うと、
「様々なシステムから様々な形式のデータ(例えばCSVやバイナリ)を収集し、必要に応じてデータの変換(ファイル形式、データ項目など)、統合などの処理を実施し、配布先に対して必要なデータ形式で配布できるソフトウェア」です。

下の機能概要図にあるように、集めたデータを分析や帳票作成などに使用したり、
システムの中心となるサーバにIIIを導入して、周辺のシステムとのデータ集配信に使用されているようです。

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機能概要図

機能の概要説明

IIIには様々な機能がありますが、
今回は中心となる機能である以下を対象に説明していきます。

  1. データ収集機能
  2. データ変換・編集機能
  3. データ配布機能

1. データ収集機能

データ収集機能は、その名の通りデータを収集する機能ですが、
収集方法として以下の選択肢があります。

  • ファイル収集
  • データベースからの抽出
  • Information Storageからの抽出
  • Azure Storageからの収集
  • Service Integratorのサービスバス連携のデータを収集
  • Excel形式のデータ収集
  • EDI連携のデータを収集

ここでは、実際私が使用した事がある「ファイル収集」について説明します。

<ファイル収集>

ファイル収集の方法として他システムからファイルを収集する「ファイル受信」と自システムにあるファイルを収集する「ファイル入力」があります。

- ファイル受信

他システムにあるファイルを収集する機能です。
収集する対象のシステムは複数指定することもできます。

ファイル受信の種類として、「自局主導」と「他局主導」の2種類があります。
それぞれ以下のようなものです。

■ファイル受信(自局主導) IIIから収集元システムにあるファイルを収集します。
下の図にあるように、IIIが自分からデータを収集したいシステムに対してデータを取りに行くような動きをします。
(実際は、収集元システムに対してファイル送信要求を送って、それに応じて収集元システムはファイルを送信する。という流れです)
また、収集時間を予め設定しておいて、決まった時間にファイルを送ってもらう。といった設定も可能です。

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ファイル受信(自局主導)

■ファイル受信(他局主導) 収集元から送られてくるファイルをIIIで監視して収集します。
データが届いたことを確認してから、後続の処理(変換、配布など)を実行する。といったことが可能です。
こちらの場合は収集元のスケジュールに合わせて処理をするような運用で使用されます。
また、複数の収集元システムからデータが送られるのを待つ、または1つの収集元システムから複数のファイル受信を待つ、などの運用も可能です。

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ファイル受信(他局主導)

- ファイル入力

自システムのローカルディスクにあるファイルを、データボックス(IIIのデータ保存場所)に入力します。
データボックスに入力することで、後続のデータ変換、データ配布などが可能になります。
実際の収集方法としては、以下の2つの方法があります。

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ファイル入力

2. データ変換・編集機能

IIIが収集したデータを変換・編集できる機能です。
収集したデータの特定レコードや特定の項目だけを変換・編集の対象にすることもできます。

IIIのデータ変換・編集機能は以下の4種類の機能があります。

  • ファイル形式変換
  • 文字コード変換
  • 項目編集
  • レコード編集

<ファイル形式変換>

ファイル形式を変換する機能です。
バイナリファイル、CSVファイル、XMLファイルの相互フォーマット変換ができます。

文字コード変換>

指定された文字コードから、別の文字コードに変換する機能です。
(変換できる文字コードはマニュアルの「表1.3 文字コード変換可能な組合せ」に記載があります。)

<項目編集>

データ項目に対して、以下のような編集ができます。

  • 項目並び替え、選択、追加、変換
  • トリム、 パディング
  • 文字列の部分抽出、設定、連結
  • 大文字/小文字変換、全角/半角変換、ひらがな/カタカナ変換、濁点/半濁点変換
  • 四則演算
  • 項目条件判定
  • 数字表記変換
  • 日時の書式変換
  • 日時の部分取得
  • 連番の設定
  • 日時の差を取得
  • DataEffector関数の利用

<レコード編集>

  • 振分け 振分け条件(文字列検索、数値検索など)によってデータを分類できます。

  • ソート 任意の項目をソートキーに指定し並べ替えることができます。

  • 連結 複数のデータを連結条件によって結合できます。

  • 集計 データをグループ化し、指定した項目の合計値を出力することができます。

3. データ配布機能

データ収集機能は、その名の通りデータを対象のシステムに配布する機能ですが、
配布方法として以下の選択肢があります。

  • ファイル配布
  • データベースへの格納
  • パブリック・クラウドへの格納
  • Information Storageへの格納
  • Azure Storageへの格納
  • Service Integratorのサービスバス連携にデータを渡す
  • Excel形式のデータ出力
  • EDI連携へ配布

ここでは、実際私が使用した事がある「ファイル配布」について説明します。

<ファイル配布>

ファイル収集の方法として他システムからファイルを収集する「ファイル送信」と自システムにあるファイルを収集する「ファイル出力」があります。

- ファイル送信

他システムにファイルを送信する機能です。
送信する対象のシステムは複数指定することもできます。

ファイル送信の種類として、「自局主導」と「他局主導」の2種類があります。
それぞれ以下のようなものです。

■ファイル送信(自局主導) IIIから、処理が完了したファイルを配布先システムに送信します。 データ配布の方法別に以下の種類があります。

  • 同報配信
     ➔同一のデータを複数の配布先システムへ送信する。
      マスタデータの送信業務などに利用する。
  • 一括配布
     ➔処理が完了した複数のファイルを1つのファイルに集約して、配布先システムに送信する。
      伝票処理で単票データを集約して、送信する場合などに利用する。
  • 個別配布
     ➔処理が完了した複数のファイルを、ファイル単位に、配布先システムに送信する。

■ファイル送信(他局主導) 配布先システムからの送信要求により、IIIにあるファイルを送信する機能です。
送信要求を受けた時点で、処理が完了している必要があります。

- ファイル出力

処理(変換など)が完了したファイルを、データボックスに出力します。
(ローカルにファイルとして出力する場合は、後続にプラグイン処理というものを入れる必要があります)

処理プロセスの設計と制御について

処理プロセス設計

ここまで説明したデータ収集・変換・配布に加えて、データ振分、プラグイン処理の
一連の動作の流れをIIIでは「処理プロセス」といいます。

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処理プロセス

この処理プロセスを設計するのに「III Studio」または「デザインシート」というものを使用できます。
これらで設計した処理プロセスをIntegratorサーバへ登録することで、実行環境が作成できます。

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処理プロセスの設計と登録

処理プロセス制御

定義したプロセスは以下の3種類の方法で実行できます。

1. 利用者やアプリケーションによる実行

利用者やアプリケーションが実行するパターンです。
以下のような選択肢があります。

  • ブラウザ上で動作する「運用管理クライアント」ソフトウェア

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    運用管理クライアント

  • 処理プロセス実行コマンド(ifiexeprcコマンド)

2. スケジュール機能

スケジュール機能により定期的にプロセスを実行できます。
プロセス定義の際にプロセスの実行スケジュールも設定できます。

3. イベント監視

イベントの発生を契機にプロセスを実行できます。
収集元システムからデータが到着した場合など、イベントの発生を契機として処理を実行することができます。
これも、プロセス定義により設定できます。

データ管理について

IIIでは、収集元システムから収集したデータや、配布先システムに配布したデータなどをIIIサーバに保持します。
この保持する領域を「データボックス」と呼びます。
データボックスはシステム内に複数作成され、データの操作(格納、抽出など)を行うことができます。

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データボックスについて

おわりに

次回はWindows環境にインストールしたIIIの動作環境をセットアップする方法を説明します。

~参考資料~

Interstage Information Integrator Standard Edition V11.3.0 マニュアル(Windows64版) https://software.fujitsu.com/jp/manual/manualindex/p18000016.html


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