背景
(参考文献[1]より)
上のグラフは全産業と建設業の死傷者数、死亡者数を表したものになります。建設業の平成29年度の死亡者数は323人にもなり、これは全産業の死亡者数の3割を占めています。建設業は私たちの生活に密接に関係している産業ですが、その危険性は現代になっても依然高いままであることが分かります。
特に土木工事では建設機械が絡んだ作業での死亡事故が多いです。また建機の稼働時ではなく、移動時の方が死亡災害が多いそうです。このような災害の大きな原因として考えられるのはやはり、人間の注意力の限界です。
近年のAIの発展に伴い、画像認識は最も発展した分野の一つです。もし、この画像認識の技術を利用することにより、人間の注意力をサポートすることが出来たならば、建築現場における死亡災害を防止に繋がるはずです。
本シリーズでやること
今回の記事ではAIを用いた建機の安全装置の開発を行います。装置の仕様としては、建機にステレオカメラを設置して、その映像から人を検知した場合、距離に応じた警告を発生させるというものです。
建機の安全装置ということは、単純に画像認識のAIを作って終わりという訳ではありません。実際に現場で動くようするにはハード面、インターフェース面での仕組みも考えていかなければなりません。そのため、通常のAIの開発に加えて、例えば以下のようなことも考える必要があります。
- スタンドアローンで動くこと
- 装置の大きさ
- 警告の出し方
- カメラの調整
今回のシリーズでは、AIだけではなくこのような点を考慮した開発、つまりAI+αの開発の過程を紹介することが出来れば良いなと思います。
参考文献
[1] 建設業労働災害防止協会
https://www.kensaibou.or.jp/safe_tech/statistics/occupational_accidents.html
[2] 住友建機の役に立つ情報誌「POWER」
https://www.sumitomokenki.co.jp/power/special/120_1.html